2023年3月に厚生労働省からの小中高生の自殺者数が過去最多となったという発表がありました。それをうけて、子どもの自殺をなくすために「おとなは何ができるのか、何をしないといけないのか」について子どもの皆さんから意見をもらおうと、急きょ実施したアンケートでした。
ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
回答数68件のうち、27件が「ある」を選び、「あるかもしれない」をあわせると50件となりました。一方で、「ない」も7件あります。「ない」と思う人に、私たちおとなは見限られているのかもしれません。おとなへの期待を捨てた人をこれ以上増やさないために、おとなをもう一度見直してもらうために、私たちおとなは今できることを少しずつでもやっていかなければならないと思います。
「子どもの話をきく」という答えが最も多く寄せられました。でも、ただ「きく」のではなく、「否定せずに」きいてほしい、と。また、相談しやすい環境を作ることや相談場所を増やす、居場所をつくることなどの答えも多くありました。おとなは子どもの話を聴けていないということですね。聴いているつもりのおとなは多いかもしれませんが、子どもが望むような聴き方はできていない。自殺をなくすためには、まずは身近なおとなである保護者や先生が日頃から子どもの話を聴くことが何大事で、それが大きな予防策なんだとあらためて思いました。
死にたいとは思うけど怖いからできない・・・
今の苦しさから解放される手段だと思っている・・・
今死にたいと思っている人や死にたいと思ったけど踏みとどまった人などがいろんな思いを書いてくれました。
「自殺をなくしたい、死なないでほしい」
おとなや社会はそう言います。もちろん私たちもそう思っています。一方で、死にたいほどに追い詰めているのも身近なおとなや社会のしくみです。
「話してほしい、ちゃんと聴くから」
今本当につらい状況で、死んでしまいたいと思っている人に届くうまい言葉は浮かばないけれど、私たちはそう伝えたい。そして、聴くことのできるおとなが増えるように活動していきたいと思っています。
①では人間の性は男女だけとは思わないと答えた人が多かったです。②の回答の中に「自分もそうだから」「周りにそういう人がいるから」と答えてくれた人が多くありました。人間の性って男女2種類だけではないんですよね。最近はLGBTQ+とかXジェンダーとか性に関する言葉はいろいろと聞くようになってきましたが、男女どちらの要素も持っていたり、身体と自分の思っている性(性自認)が違っていたりと、もともと一人ひとり違っているものです。なのに、「人間の性は男女2種類」と決めつけてしまうことで、つらい気持ちになる人がでてきたり、差別につながったりするのだと思います。
③④⑤の回答では性別で持ち物や役割が決めつけられるのはおかしいと答えてくれた人や同性で恋愛してもいいと答えてくれた人がたくさんいました。ジェンダーについて知る機会が増えているのかなと嬉しく思います。
では、ジェンダーってどんな意味があるのでしょうか。「社会的な役割を性別を基にして考えること」をジェンダーって言います。性別で仕事や役割が決められてしまうということがまだまだ日本の中にはたくさんあります。本当は性別に関係なく得意なことはみんな違うのに、男だから、女だからと役割を決められるのは嫌ですよね。みんな違うということが当たり前になる「多様性を認め合える社会」になるといいですね。そして、性別についても区別することなく「その人が自分のことをどう思っているか」という考え方(SOGIE:ソジー)が広まって、一人ひとりの性のあり方が大切にされる世の中になるといいなと思います。
※SOGIE:性的志向(sexual Orientation)、性自認(Gender Identity) 、性表現(Gender Expression)を表す言葉で、セクシャルマイノリティの人たちだけではなく、全ての人の性のあり方はみんな違うよという考え方です。
アンケートに答えてくれたみなさん、ありがとうございました。
今回のテーマ「ルッキズム」はアメリカで生まれた言葉で、最近聞くようになりました。
「外見主義」とか「見た目至上主義」などと訳されます。
人を外見で評価する考え方のことを言います。
ヘンな問題だと思いましたか。「キツネかウサギか」というだけで性格まではわかりませんよね。それでも「キツネだと思う」と答えた人が一番多くて、「ウサギだと思う」と答えた人が少なかったのは、絵本やイラストなどで無意識のうちに「キツネはずるがしこい」「ウサギはおとなしくてやさしい」というイメージを植え付けられているのかもしれません。
思い込みだけで決めつけるのはまちがいのもとなので、気をつけたいですね。
この童話は「みにくいアヒルが白鳥に生まれ変わった」というおはなしではなく、本当は「アヒルのお母さんやきょうだいたちと育った白鳥が、大きくなって自分が白鳥だと気がついた」というおはなしなのです。この童話を前から知っていた人も、そういう物語とは思わなかったかもしれません。周囲のアヒルと見た目が違うために「みにくい」と小さいときからいじめられ、つらい思いをしてきた白鳥の子が、美しくなって最後は報われた、だからよかった、と思えるようにしめくくられます。だから「アヒルが最後に幸せになってよかった」と思った人が多いのはうなずけます。
でも「みにくい」からいじめられて、「美しい」から幸せというのは何かちがうんじゃないか、おもしろくない、と思う人がいてもふしぎではありません。「モヤモヤする」という感想もありです。
「脚が長くてやせている」「かわいい」「イケメン」などにあこがれる気持ちは悪いことではありません。そういう人をうらやましいとか、得をしているとか思うこともあるでしょう。ただ、外見のいいか悪いかは人間の「人としての価値」のほんの一部に過ぎないことを知っておくのは大事なことです。
「ルッキズム」という言葉が聞かれるようになったのは、「それっていいことなのか、考え直してみよう」と考える人が増えてきたことの現われかもしれません。チャイルドラインがみなさんに覚えておいてほしいのは、生まれ持った顔かたちなど自分の力で変えられないもので人を評価することは、「ありのままでいていい」という「人としての権利」の侵害だということです。姿かたちをほめることは決して悪いことではないけれど、それを理由に人をおとしめたり、傷つけたりするのはまちがいです。
そのことはわかっていても、世の中にあふれる「ルッキズム」におとなたちも支配されているなあと感じます。みなさんも、周りにある「ルッキズム」について考えてみてくださいね。
アンケートに答えてくれた皆さん、ありがとうございました。
今回のテーマは「子どもの権利」でした。
「子どもの権利」というとむずかしく感じるかもしれませんが、これはすべての子どもが生まれたときから持っているもので、当たり前に守られるべきことです。毎日の生活の中には、実はたくさんの「子どもの権利」が存在しています。
これは、「おとな」の義務です。「おとな」には、その子どもを育てている人だけでなく、周りのおとなや学校の先生なども含まれます。みんなが生きている「社会」の義務ともいえます。子どもは「学ぶ権利」「教育を受ける権利」をもっています。おとなや社会がそれらの権利を守る(保障する)方法の一つが「学校で学ぶ」ということで、小中学校を「義務教育」としています。けれど、「学校で学ぶ」以外の方法がほとんどなく、小中学校に行っていない子どもの「学ぶ権利」「教育を受ける権利」はまだまだ守られて(保障されて)いないのが現実です。
「いじめ」はどんな理由があったとしてもしてはいけません。「いじめ」は相手の「今の権利(学ぶ権利や遊ぶ権利、休む権利など)」を奪うだけでなく、将来にわたって心に傷を残してしまうこともあります。「いじめられる側にも悪いところがある」といわれることがありますが、それはまちがいです。「悪いところがある」ことがいじめてもいいという理由にはなりません。また、自分は「いじめていない、いじっているだけ」と思っていても、相手がいやな気持ちになっていたら、それはもう「いじめ」です。
しつけのための体罰(たたく、けるなど)は児童福祉法などの法律で禁止されています。おとながおとなをたたいたら暴力として許されないのと同様に、たとえ「子どものためを思って」という言い分があっても、子どもをたたくことは許されないのです。「しつけ」は子どもの心と身体の成長を手助けすることですが、体罰(たたく、けるなど)はしたことに対しての罰であり、将来にわたって子どもの心と身体の成長に影響を与えることもわかっています。
この条約は世界中のすべての子どもがもっている「権利」について定めたものです。1989年に国連で作られ、日本も1994年にその条約を守ることを約束しています。そこには、「子どもの権利条約を広く知らせることを約束する」という内容も含まれていますが、30年近くたった今なお、知らないおとなもたくさんいます。チャイルドラインは、多くの人にこの条約を知ってもらい、子どもが生きやすい社会を作っていきたいと思っています。
「子どもの権利条約」について、詳しく知りたい人は、こちらへ
https://childline.or.jp/kenri/
アンケートに答えてくれた皆さん、ありがとうございました。
説明と集計結果をお知らせします。
第2次性徴を迎えて妊娠できる体に成長すると、個人差はありますが月に一度ぐらいの間隔で、受精しなかった卵子が血液などと一緒に膣を通って排出されること。初めての生理の時(初潮)は少し茶色い色をしていることもあるのでびっくりするかもしれません。
生理のことを正式な医学用語では「月経」といいます。
生理の時やその前に、ホルモンの影響でおなかや頭が痛くなることを生理痛(月経痛)といいます。強い痛みがあったり、まったく痛みがなかったり、ひとそれぞれです。成長とともに生理痛は変化しますが、症状がひどい場合は婦人科やレディースクリニックに相談してください。月経困難症(PMS)といって治療が必要なこともあります。
女性は生まれながらおなかの中(卵巣)に赤ちゃんに成長する卵子を持っています。思春期になって女性ホルモンが分泌されるようになると、ひと月にひとつの卵子が卵巣から子宮に運ばれます。子宮の中では赤ちゃんのベッド(子宮内膜)や栄養になる血液を準備するようになります。その時に卵子が精子と出会うと受精卵になりベッド(子宮内膜)に留まります(着床)。受精卵にならないと用意したベッドも栄養として準備していた血液も不要になり1週間ぐらいかけて少しずつ、体の外に出てきます。個人差はありますが、およそ28日周期でくりかえします。
経済的な理由や、家族の理解がなく、生理用品を買うことができない、あるいは入手する方法がない人もいます。また、家庭、学校、社会に、生理痛や月経困難症などの理解が広まらなくて、痛みを我慢したり、生理休暇という制度を利用できない人もいます。生理の貧困という言葉には、こうした状況が改善していこうとする意味も含まれています。最近では学校や公共施設のトイレに、自由に使える生理用品を置いている所が増えてきています。生理の貧困は、女性だけに起こる困りごと(性的差別)を、社会全体で考えていこうという活動の一つです。
アンケートに答えてくれた皆さん、ありがとうございました。
番号の説明と集計結果をお知らせします。
事故にあったり、事件に巻き込まれたりして警察にすぐ来てほしいときや急いで連絡するときの電話番号。かけた地域の警察署につながります。
火事を見つけたときや、急病人・けが人がいるとき、すぐに助けてほしいときなど、消防車や救急車に来てほしいときにかける電話番号。
買った品物に問題があるときや、使っていた家電や家具、衣類などに問題が起きたとき、またインターネットを使った詐欺(だましてお金を払わせること)に巻き込まれたときなどに相談できる「消費者ホットライン」です。ひどい目にあったのにだまってあきらめてしまうことを「泣き寝入り」と言いますが、「1・8・8(イヤや)泣き寝入り!」と覚えてもらえるようにつけられました。
子どもが虐待されていると思ったら「いちはやく(1・8・9)」担当者に知らせるために設定された番号。虐待されていると感じた子どもが自分でかけてもいいのです。かけた場所から一番近い児童相談所につながります。子どももおとなも、この番号をぜひ覚えておいてください。
あなたが望まない性的な行いは「性暴力」です。家族や恋人の間でも起こります。もし今、性犯罪や性暴力にあい、つらいこと・不安なことをひとりで抱え込んでいたら、ここに話してみませんか?すぐに相談できるよう、「はやくワン(ストップ)(8・8・9・1)」と覚えやすいようにつけられた電話番号。近くの相談窓口につながり、必ず力になってくれます。
*いくつわかりましたか?
次回のアンケートにも挑戦してみてくださいね。