チャイルドラインは子どもの権利条約に基づく子ども観のもと、
子どもの声を聴き、こころを受けとめ、受けとめた声を社会に発信することで
子どもの生きやすい社会を目指しています。
わたしたちは多くの皆様からの支援やボランティアに支えられ、活動しています。
そして、私たちだからこそ知りうる子どもたちの現状を社会へと情報発信し、
子ども達をとりまく環境の整備のため働きかける行動もしています。
子どもの気持ちを聴くことで、子どもが自分で考え自立することを支援します。
チャイルドラインは、問題の解決を目的とせず、子どもの「気持ち」を聴くことを大切にします。心の叫びになかなか耳を傾けてもらうことのなかった子どもが、チャイルドラインをきっかけとして、自ら歩みだすこともあるかもしれません。また、話を一所懸命に聴いてもらった経験は、次に困難な出来事に出会ったとき、誰かに言ってみようかなという気持ちを起こさせるかもしれません。わたしたちは、子どもたちにとって、ホッとできる「こころの居場所」となるよう活動しています。
社会状況の変化により、子どもたちが親しんでいるコミュニケーションのツールが電話からメールやSNS、LINEなどに変化しました。また、多くの子どもから、「話し声が聞こえてしまうから電話はかけにくい」など電話以外のツールでの相談を求める声が寄せられています。
チャイルドラインでは、電話と似た双方向のコミュニケーションができる文字による「チャットシステム」を使い子どもからの相談を受けています。(2016年より)
チャイルドラインは子どもたちが安心して相談できるように子どもに「4つの約束」をしています。
ヒミツはまもるよ・・・子どもが安心して話をできる場を提供するため、話の内容をそのまま第三者に伝えることはしません。
どんなことも一緒に考える・・・特別な悩みだけでなく、どんな些細なことでも一緒に考えることを約束しています。
名まえは言わなくていい・・・お互い匿名で相談することで、子どもが安心して話をできると考えています。
切りたいときはいつでも電話、チャットを切っていい・・・話をするかどうかは子どもが主体的に選択できます。
~子どもは同じ社会を構成する対等なパートナー
子どもの話を聴くとき、主人公は子どもです。子どもが安心して話ができるように、お互いに名前などの個人情報は明かしません。子どもを一人の人間として受けとめることで、子どもの目線に立ってものごとを理解し、子どもの主体性を尊重し、大人の考えを押し付けないように気をつけて話を聴いていきます。
子どもがもともと持っている自己解決力を信じ、話を聴いていくことで、子ども自身が気持ちを整理できることもあります。誰かに話をすることで気持ちが軽くなったり、次の一歩を踏み出せるようお手伝いしています。
子どもたちと直接関わり、いじめや自殺などを予防するアウトリーチプログラムの開発、実施に取り組んでいます。
子どもたちが自分の感情に気づき、他者との違いを認め良好なコミュニケーションが取れるようになることや自己肯定感を高め、いじめや自殺の予防に寄与することを目指しています。
自分のあるがままの姿を受けとめ、「自分は大切な存在だ」と心から思える、自分のことを肯定的にとらえられる感情のことで、英語の「セルフエスティーム(Self-esteem)」を訳したものです。
日本の子どもや若者は諸外国と比べ、自己肯定感が低いという調査結果があります。また自己肯定感が低いことがいじめや自殺念慮へ影響していると考えられるため、子どもたちの自己肯定感を高めることは教育課題にもなっています。
(内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成25年度)」
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/tokushu_01.html
(文科省「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」子どもの発達段階に応じた支援の必要性)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1283165.htm
「子どもの権利条約の理念に基づき、子どもの「声」を受けとめることで、子どもがありのままで安心できる心の居場所をつくります。
また受けとめた「声」を社会に発信し、子どもが生きやすい社会をめざします。」というミッションを掲げ活動しています。
特に第3条にある「子どもの最善の利益」を一番に考えています。
(「子どもの権利条約」は1989年に国連で採択された国際条約で、日本は1994年に批准しています。)
チャイルドラインは毎年18万件以上の電や話チャットで子どもの声を聴いています。内容は話し相手を求めるものから深刻な悩みまでさまざまです。
フリーダイヤル | 2022年度 | 1日あたり |
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発信数 | 410,720件 | 1,144件 |
着信数 | 184,627件 | 514件 |
かけた人数 | 72,321人 | 201人 |
つながった率 | 63.4% | |
会話成立(子ども) | 42,963件 |
オンラインチャット | 2022年度 | 開設日Ⅰ日あたり |
---|---|---|
訪問件数 | 133,447件 | 717件 |
書き込み件数 | 32,327件 | 174件 |
対応件数 | 11,817件 | 64件 |
ユニーク訪問件数(のべ) | 80,123人 | 431人 |
つながった率 | 40.3% | |
会話成立(子ども) | 7,757件 |
電話・オンラインチャット合計 | 動機(2022年度) | |
---|---|---|
話を聴いてほしい | 40,983件 | 80.8% |
答えが欲しい | 6,352件 | 12.5% |
誰かとつながっていたい | 2,017件 | 4.0% |
お試し | 693件 | 1.4% |
チャイルドラインについて | 160件 | 0.3% |
社会資源情報を求める | 51件 | 0.1% |
実際に動いて欲しい | 26件 | 0.1% |
その他 | 438件 | 0.9% |
合計 | 50,720件 | 100% |
【参考】主訴上位10項目(2016年4月1日~2017年3月31日)
主訴上位10項目 | |
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人間関係 | 20.5% |
性への興味関心 | 14.1% |
雑談 | 11.4% |
心に関すること | 9.5% |
いじめ | 6.1% |
恋愛 | 5.3% |
身体に関すること | 4.7% |
進路・生き方に関すること | 3.3% |
成績・勉強 | 3.2% |
虐待 | 2.6% |
その他 | 19.3% |
子どもの「声」から気づいたことを社会に発信し、子どもの育つ環境が整うことを目指します。
子どもたちの「声」からは、さまざまな大人の姿や、社会の歪みが見えてきます。子どもの声を聴く大人の責任として、そこから見える子どもたちの状況を社会に伝えていくことは、チャイルドラインのもうひとつの大きな役割です。子どもが豊かで幸せに生きることのできる社会をつくるために、子どもの現状を伝え、子どもをとりまく環境の何が問題なのか、社会をどのように変えていく必要があるのか問題提起していきます。
引き続き、子どもの生きやすい社会を作るため、2016年1月発効したSDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)に盛り込まれた17の目標に向かって、日本の子どもたちが取り残されないようしっかりと政策に盛り込まれるよう働きかけをしていきます。
チャイルドラインは電話・オンラインチャット実施団体とチャイルドライン支援センターが協働で行っている事業です。現在全国38都道府県に68の電話実施団体と25のオンラインチャット実施団体があります。子どもたちの話に耳を傾けるのは「受け手」と呼ばれるボランティアです。各地のチャイルドライン実施団体が受け手を募集、養成し、交替で全国の子どもからの電話・オンラインチャットを受けています。実施団体は地域の子どもたちにチャイルドラインを周知する広報活動を担い、チャイルドライン支援センターは、フリーダイヤルやチャット事業の運営、管理を行っています。そして全国のチャイルドラインの相談の質が向上していくよう全国研修を企画運営し、子どもの生きやすい社会の実現のための社会発信を行います。
チャイルドラインの名称は、目的外に使用されないよう商標登録されています。
名称 | 特定非営利活動法人チャイルドライン支援センター(認定NPO) (英語表記 Childline Support Center Japan) |
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所在地 | 〒162-0808 東京都新宿区天神町14 神楽坂藤井ビル5階 |
連絡先 | TEL: 03-5946-8500(平日10時~17時) FAX: 03-5946-8501 Email: info@childline.or.jp |
設立 | 1999年(平成11年)1月14日 法人格取得 2001年(平成13年)5月17日(内閣府) 認定取得 2016年(平成28年)2月25日(東京都/認定番号:27生都地第1856号) |
子どものためのホットラインの活動(チャイルドヘルプライン)は、現在147の国や地域で実施されています。世界各地のチャイルドヘルプラインをネットワークしている「Child Helpline International (CHI)」に、日本のチャイルドラインも参加しています。